酔乱 租税法メモ

租税法関係のメモ。間違いについては優しく指摘して下さい。引用・転載はご自由に。タイトル変更。
4月30日立法、翌日施行
 ガソリン税増税について、4月30日に立法府を通して、翌5月1日からすぐに施行ということに問題はないのか、周知期間が必要といったことはないのか、という趣旨の質問がありました。
 法律問題としては、官報で公布して即日施行ということについて、特段問題とされたことはない、と記憶しています。
 遡及立法については幾つかの裁判例が法科大学院の講義等で扱われますが、翌日施行の問題について議論した記憶はありませんでした。『ケースブック租税法』2版78頁に、「会社臨時特別税法は昭和49年3月30日に立法され、同年3月31日から施行された。同法4条2項は同法の適用年度を「この法律の施行の日から同日以後2年を経過する日までの期間内に終了する各事業年度」と定めていた。この法律と遡及立法禁止原則との関係を考えよ。」という記述がありますが、文脈からいって翌日施行を問題視している訳ではないでしょう。

 租税法でなく刑法総論で法の施行についての際どい判例があったなあと、思い、昔勉強した教科書を引っ張り出してみますと、次の事例でした。
 最大判昭和33年10月15日刑集12巻14号3313頁
 事案の概要として、『判例刑法総論』496-497頁より…「被告人は、昭和29年6月12日午前9時頃広島市A方において覚せい剤を所持していた。第一審判決は、被告人の行為に覚せい剤取締法を適用したが、この法律は、昭和29年6月12日附け官報に掲載して公布された昭和29年法律第177号「覚せい剤取締法の一部を改正する法律」によって改正されたものであった。
 判決文より…「してみれば、以上の事実関係の下においては、本件改正法律は、おそくとも、同日午前8時30分までには、前記大法廷判決にいわゆる『一般国民の知り得べき状態に置かれ』たもの、すなわち公布されたものと解すべきである。
 この法律が6月11日に立法されたものなのかは知らないのですが、それはともかく、裁判になるとかなり形式的に判断されるのですね。

 さて、法律論としては上記の通りやはり問題としにくいだろうなと考えられますが、実際上5月1日以降に起きるであろう混乱については、どう理解すべきなのでしょうか。
 消費税法に関しては周知期間が設けられていましたが、ガソリン税については、仮に一ヶ月ほどの周知期間を設けて6月1日施行としたとしても、6月1日以降、ガソリンの小売店で実際に幾らの値付けがされるかについて、混乱は避けられないものと推測されます。ガソリン税などの間接税は消費者に転嫁されていくことが法律上予定されていますが、この転嫁はあくまで法律上の予定にすぎず、実際にどの程度転嫁されていくかは店と消費者との間の価格交渉に委ねられているからです。
 「周知期間を設けても値付けについての混乱が避けられなかろうから、周知期間を設けないで生じる値付けについての混乱も仕方ない」、といってしまうのはやや暴論かもしれませんが、元々法律論としても問題視されにくい事柄ですから、議論の実益が乏しいのかな、と思われます。

 ところで、ガソリン税増税について、(一般財源化後)どういう正当化理由を言っていくのでしょうか。福田首相が語ったという温暖化対策だけでは論理として苦しい(←他の二酸化炭素排出源にかかる租税負担と比べた場合)でしょうから、自動車特有の何か別の理由を考えていくことになるのでしょう。経済学的に素直に考えると、「自動車利用には他の二酸化炭素排出形態よりも更に大きな負の外部性がある」といった説明になるのかなと思われますが、政治家の口からそのような理屈を語っても受けは悪いのかもしれません。

ヤフーのコメント見てみますと、なかなか面白いことが書かれてあるものですね。
租特法、午後に再可決・成立=与党、「みなし否決」動議提出−本会議ずれ込み(4月30日5時0分配信 時事通信)
ガソリン価格を高く設定して地球温暖化に一役、理解得られると確信=官房長官(4月30日10時40分配信 ロイター)
| asatsuma | 租税その他 | 19:37 | comments(0) | trackbacks(0) |









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